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火おこしちゅう。


by rentacoal

私的ゲームレビュー「MOTHER3」

私的ゲームレビュー「MOTHER3」_b0060499_757162.jpg・・・・・・・・・・異質なものが取りのぞかれたあとに
夜。 一人になった居間で、僕は今日も
MOTHER3の最後を見届けていた。
これで4度目だ。
その瞬間がきた。
あのメロディーが、風の中から少しずつ素顔を現し、

雷がなった。 画面いっぱいにひろがった。
痛みをのせたその一撃は、痛みとなって返っていき、
少年はそれを見つめつづけた。
すべては彼の、プレイヤーである僕の、目の前で……

木と金属がまざりあってくっついたような、ロゴ。
それが何を表すのか、環境破壊への非難でもする気なのか、
ゲームを進める最中も気にかかっていた。
その謎はとけなかった。
最後の瞬間を迎えるまで、僕は気づくこともできなかった。

涙がながれた。

涙は悲しいから流れるのではなくて、
流れてはじめて悲しいと気づくんだ。
気づいて追いかけたときにはもう遅くて、もう戻らなくて。
どうしようもなかった。
ただその事実を受け入れようとした、
わりきれない気持ちは少年と僕の涙になった。

感動をうたう作品が相変わらず多いけど、
本当に心動かされたときって
「感動した」
そんな言葉はつかえないと思う。 下品すぎて。
シンプルに表せるものではなく、生やさしくもなく、ゆさぶられたその感覚を
僕らは言葉にできないと思う。

ことばで表せない、けど……
切なくて 愛しくて
身近な人に「ありがとう」と言いたくなる。

そんな感覚が僕らには、足りない。
そんな感覚を呼び覚ますパワーを、このゲームは持っている。
作り物の感動に疲れたあなたがいたら、
このゲームをプレゼントしたい。

素直なきもち、いままでごめんね。
おかえり。 またあえるよね。
…ありがとう。

平気でそう言えるようになる、そんなRPGです。
(MOTHER3 ゲームボーイアドバンス)



・・・・・・・・・・言い訳とふとした回想
僕はTVゲームをやらないとは一言も言ってないのだけど、
そういう話題を今まで出さなかったので。 たまには書いてみます。

ただ、暇つぶし用のゲームは大っ嫌いなので
ゲームの操作性がどうこう、なんて話は
海の彼方に全力で投げ飛ばします。
作品性、あくまでそれに尽きるということで。

そんなわけで、決して買うときの目安だとか
万人に通じることは書けないのだけれど(レビューじゃないかも)、
一通りプレイして感じたことを文章にしました。

うーん……。
思えばこのMOTHERというシリーズには
泣かされてばっかだなぁ。 滅多なことじゃ泣かないのに。
最初に泣いたのは1作目のときで、
泣く直前までは笑ってたんだよね。 実は。

ちょっとネタばらししちゃうけど、
カナリアの親子がはなればなれになっちゃってね。
あ、ゲーム中の話ですよ。
カナリアも親なんだなぁ、悲しそうにさえずるんですよ。
で、主人公がヒナ鳥を見つけてきて、親元へとどけて。
ことばは喋らなかったと思うんだけど、
やたら嬉しそうに、もうそれは滑稽なぐらいに喜んでて。
それ見てアハハ、なんじゃこいつ……と笑ったその刹那。

やられた。
不覚にも、涙がとまらなくなったんです。 このタイミングで。
エイトメロディーズっていう、このゲームの
テーマみたいな曲があって、名前のとおり8つに分かれたメロディを
冒険の途中で拾い集めていくんだけども……
カナリアの歌が2つめのメロディだったんです。
不意に心が打たれて、そうかあ、ここにあったのかあ……
笑いながら泣きながら、
どこまでも素直に心をなでるカナリアの歌を聞いたっけ。
なんども、なんども。

僕らは感動って、何か大それたものを思い描くけど、
MOTHERはそんな心にパンチを食らわせる。
それはちゃうやろ、と。
どこまでもありふれた世界なのに、泣いたり笑ったりできる。
ささいなできごとにも心動かされたこと、
ありふれた日常の大切さを伝えた最初のゲームじゃないかな、とも思うね。

(聞いてみれば、このゲームの発売時期はバブルの少し前。
 そんな時代に足元を見つめなさいよ、的なメッセージを
 こめられたのはすごいなぁと思います。)

…ありゃりゃ、すっかり1作目の話になっちゃった。
最後までプレイしたのは3だけど、1も2もしっかりMOTHERしてるんで、
ちょっと時間に余裕のある方はトライしてみてください。
「MOTHER 1+2」 同じくGBアドバンスで発売中です。
by rentacoal | 2006-06-04 08:25